ムッキーの初老日記セレクト

20年後の伏線回収

いちご白書をもう一度


何故あんなことをしたのか、今でもわからない。



あの時のことを思い出すと、未だに強烈な恥ずかしさにいたたまれなくなる。

 




中一の美術の授業中だった。その日は教室で水彩画を描いた。



教室内は適度にざわざわしていた。



私は絵を描きながら、口の中でホントに小さく、鼻歌を口ずさんでいた。

 




いつか~君といったぁ~映画~がまた来るぅ




 

バンバンの「いちご白書をもう一度」だ。

何故この歌だったのかはおぼえていない。



絵の具を混ぜながら私の声はだんだん大きくなっていった。

 




授業~を抜け出して~二人で出かけた~




 

すごく気持ちよく声が伸びる。

なんだか私って歌が上手いんかな(๑•̀ㅂ•́)

 

後で聞いた話だが、そばの席に座っていた友達が気づき



 

「ムッキー、おいムッキー!ちょっと!」 

 

と声を掛けてくれたらしいが、記憶にない。




 

雨にやーぶれかけたぁ~街角のポスターにぃぃ




 

このへんになると、周りの人にもちょっと聴こえ出したようで



「ん?」という雰囲気だったと、その友は語る。

 




過ぎ去った昔が~鮮やかに甦るぅぅ




 

おいおい誰か歌ってるよ。誰だ。なんだ。

ざわざわざわ。



私のノドは絶好調。ついに2番に突入した。

 




僕は無精ひげと~髪を伸ばして~
学生集会へも~時々でかけたぁ~

 




ムッキーだよ。ムッキー。
あいつ歌ってるよ。なんだあいつ。どうしちゃったんだ。

 




就職~が決まってぇ~髪をきーって来た時ぃ~




 

この頃になるとまるで錦織健なみの声の張り方だったと

当時を振り返り友人は証言する。




そして、各テーブルを廻っていた先生の耳にも、遂にその歌声は届いた。

 





もお若~くないさとぉ~
君に言い訳したねえぇぇ

 

 







誰だー!歌ってんのはー!?(`□´)





 

 

その怒号でハッと我に返った。

え?今歌ってた!?私!?なんで!?

 




「誰だ!今歌ってたのは!今は音楽の時間じゃないぞ!」

 




先生はカンカンだった。

友達はみな黙っていたが、宇津木(仮名)という小憎らしい男子が立ち上がり



 

「今、ムッキーが歌ってましたー。」

と告げ口した。

 




「ムッキー、オマエか!何歌ってたんだ!立て!」



「ハ、ハイ・・・」



「何を歌ってたんだ?今」



「い、いちご白書をもう一度です」



「オマエは授業中に大声張り上げて歌うほどバンバンが好きなのか!」



「い、いえ・・・そう言うわけでは」



「そんなにバンバンが好きなら…よし!もう一回歌え」



「かか勘弁して下さい!」



「あ、いちご白書はもういい。バンバンの違う曲を歌え」



「そそそんなー(°□°)ー!」

 




そして私は有無も言わされず、バンバンの「縁切り寺」という曲を


クラスメイト全員の前で熱唱させられた。

 



その日から、私には ばんばひろふみ好きの女

というレッテルが貼られ、

卒業するまで言われ続けた。

13歳の少女には不名誉なレッテルである。



今でもTVでばんばひろふみを見ると、

この時の大恥体験が

 



鮮やか~に~甦るぅ~(T▼T)

 

 

      (2002年8月 記)

 

後記

あの頃、ラジオを聴くのが流行っていて

ばんばひろふみの番組もたまに聴いていたので

多分そのせいだろうとは思うが

なぜ授業中に熱唱したのかは、未だに謎のままだ。