ムッキーの初老日記セレクト

あの頃と今とネットレトロな日記。

カンロちゃん

もう20年ぐらい前の漫画だが、吉田まゆみの「アイドルを探せ」をご存知だろうか。

簡単に言うと、短大生の主人公「チカ」と、チカを取り巻くさまざまな人たちの

恋愛模様を描いた全10巻の少女漫画だ。

 

吉田まゆみは当時売れっ子で「アイドルを探せ」は彼女の代表作の一つだ。

当時結構夢中で読んだ割に、私は「アイドルを探せ」に対して辛口である。

夢中で読みはしたが、自分と同世代の主人公に共感したことは殆どなく、逆に

 

なんでお前はいつもそうなんだ!

 

と憤慨しつつ読んでいた。

チカの軽薄さが腹立たしい、真面目が取り柄の私だった。

ストーリーも「いくらなんでも出来すぎ」と思えるシーンが多い。
登場人物の殆どが「お気楽」な人種で、軽い。

 

時代もある。女子大生がもてはやされたバブル時代の話だから

まあこのくらいの軽薄さはしょうがないのかなあ、という気がしないでもない。

ムカつきながらも読んでいた「アイドルを探せ」は

私にとって不思議な位置づけの漫画である。

 

この漫画に「カンロちゃん」という女の子が出てくる。
チカと同じアパートに住み大学に通う、漫画家志望の彼女は

そこそこ可愛くそこそこかモテるチカとは正反対で、
背のひょろっと高い、ちょっとかたい感じのメガネの女子大生だ。

私は登場人物で一番このカンロちゃんが好きだった。
一番リアリティーのある登場人物だった。

 

物語の後半まで、徹底的に彼女はモテない。
可哀想なぐらいモテない。
いいな、と思った人には「いい友達」と言われてしまう。
告白する前から振られてしまう。
合コンしても、唯一寄ってきたのはロクでもない男・・・。

踏んだり蹴ったり。

 

ところがだ。
10巻中、7巻くらいから事態が変わってくる。


カンロちゃんに彼が出来る。


ただ「ハイできました」ではない。
カンロちゃんが、彼と出会い、お互い惹かれあい、いろんな事を経て恋人同士になり

結婚を誓い合うまでを、作者はこの漫画で今までになかった丁寧さで、丹念に描いてゆく。


まるでカンロちゃんが主人公かと思わせるような展開を見せるのだ。

 

カンロちゃんと彼が、お互いの気持ちを確認し合ったくだりでは、私は思わず涙を流した。

 

「カンロちゃん、よかったなぁ。

 どんなに嬉しいだろう、ホントによかったね」

 

泣きながらページをめくった。


大勢の人からモテなくても全然いいんだよ。
たった一人の、自分を一番大切にしてくれる誰かがいれば、それでいいんだよ。


キュートな女子大生の日常をオシャレに軽い感じで描いた漫画だが
きっと物語の中で、本当に作者が言いたかったのは、これではないか?
私はカンロちゃんのラブストーリーを読みながらそう思った。


漫画の登場人物に問う質問ではないが・・・

 

カンロちゃん、浜さんと幸せに暮らしてますか?

 

 

 

(2007年10月 記)

 

【後記】

今でもたまに読み返したくなる漫画だ。

いつ読んでも相変わらずチカは軽い。

チカもカンロちゃんも歳を取るとすればもう50代後半か。

本当にいたら、どんな初老になっているだろうか。