第三話 詩集
午後の光が、棚の背にやわらかく落ちていた。
カランと音がして
扉が開く。
入ってきたのは、制服姿の女の子だった。
少しだけ周りを見て、
ゆっくりと棚の方へ向かう。
一冊の薄い本を手に取る。
詩集だった。
ページを開く。
🦉<……
コノハズクは
とまり木から見守っている。
「それ、いい本だよ」
声は、静かだった。
声の主は、佐伯という
常連の男性だった。
女の子は顔を上げる。
「……難しくないですか」
「難しいかもしれないね」
「でも、今わからなくてもいいと思う」
少しだけ間を置いて、続ける。
「わからなくても、残ることはあるからね…」
女の子は、もう一度ページを見る。
「……」
やがて、本を閉じる。
「これ、ください」
🦉<ズクク…
本には、時間がはさまっている。
これから挟まれる時間も、
きっとその中に残る。
🦉<ここに、おるよ。
